セレスピードの扱い方

セレスピードはクラッチペダルがないMTだと前回お話ししました。
構造的には普通のMTと同じクラッチが付いていて、ギアも同じものです。
このクラッチ操作とギア変速を油圧ロボットが人間の代わりに行ってくれるわけです。

なので、セレスピードに嫌気がさして油圧ロボット部分を取り去って、普通のMTにしてしまった強者もあります。笑

さて、前回、セレスピードはAT感覚ではなくMT感覚で乗るべき、と述べました。
具体的にどういうことかと言えば、第一に、MTと同じような「間」を意識する、ということです。

MTのギア操作を思いだしてください。
一連の流れはこうなります。

1.アクセルを抜く(戻す)
2.クラッチペダルを踏みこむ
3.ギアを変える
4.クラッチペダルを戻す

セレスピードでは(マニュアルモードにしていれば)1.以外は全て機械が行います。
そして、そのプログラムは人間のMT操作をシミュレートしたものです。

この時、AT感覚で変速をした場合、恐らく1.の動作はありません。
アクセルは踏みっぱなしです。
これをMTでやると、クラッチを踏んだ瞬間(クラッチが切れた瞬間)にエンジン回転が急上昇、ギアを変えてクラッチを戻した際にはドンッと大きな衝撃が来るとこでしょう。
クルマの挙動も不安定になります。

セレスピード搭載車のアクセルはドライブ・バイ・ワイヤ(電子制御)なので、もちろん制御が入ってかなり軽減されますが、ギクシャクした感じになります。
これが繰り返されれば、ミッションは当然、駆動系全体にストレスがかかり続けて壊れる、ということになります。

セレスピード搭載車のユーザーレビューなどで、ギア変速の際に振動が大きくてイヤだとかありますが、恐らくはこれが原因でしょう。

書いてて分かったのですが(笑)、要するに、「これからギアを変えるぞ」という意識があるかないかが最も大きな違いだと思います。
その時、ギア変速の一連の過程をイメージ出来ていれば、おのずとアクセルも戻すし、ギア変更の間を図ってアクセルを踏み込むことが出来るのです。

実際、セレスピードでもクラッチが切れる瞬間、ギアが変わる瞬間、クラッチがつながる瞬間は意識していればわかります。この瞬間と次の動作への間が大事です。
これがわかれば、少なくともセレスピードにかかるストレスは激減すると思います。

そうは言っても、機械稼働部が多ければ故障モードも増えるわけでして、それに熟練したメカニックが多いかと言えばそうでもないのが辛いところです。

クラッチが切れない、ギアが変わらないといったドナドナ要件の場合、多くの修理工場、ディーラーでさえ、ユニット丸ごと交換(!)を要求するところが多いのです。
こうなると諭吉様が30人ほど旅立たれる事態になります。

でも、実際は、内部のオイルシール用のOリングの交換だけで治ってしまったり、油圧保持のためのアキュームレーターの交換、油圧ポンプの交換、はたまたポンプリレーの交換程度で治るケースがほとんどです。これであれば、諭吉様5~10人程度の犠牲で済みます。
私のGTの場合、高圧ホースのオイル漏れによるホース交換で一発解消でした。

こういう対処方法を熟知しているファクトリー(我々マニアは主治医とも呼びます)を知っているかというのは重要事項になります。

アキュームレーターやオイルポンプははっきり言って消耗品です。
都市部で乗っているのであれば、6~8万kmで要交換となるでしょう。
でも、これはブレーキパッドを交換するのと同じ程度のメンテナンスです。

この辺は、外国車と国産車の思想の違いが大きいですね。
外国車は基本的に日ごろのメンテ重視。国産車のように車検時にまとめて、ということをしていると確認すのがイヤな見積もりをもらうことになります。
気が付いた時にチョコチョコ直していれば、驚くほど普通に乗れます。
これを無視して壊れる壊れる、というのは違うでしょう。

そうそう、セレスピードのシフトダウンは気持ちいですよ!笑
ちゃんとブオンッ!!とアクセル煽って、ピタッと合わせてくれます。
ブレーキ踏みながらでもシフトダウンできる、ということは、ヒール・アンド・トゥを意識せず出来るわけです。
(まあ、もうすでにヒール・アンド・トゥなんて大昔のテクニックになっちゃってますが 笑)

ともかく、MT感覚で乗ってあげればセレスピードは楽しいシステムです。

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